スマートフォンが鍵になる。「Akerun」がロボットであることにこだわる理由ーPhotosynth代表河瀬氏インタビュー

Photosynth

「好きで活きて得意で稼ぐ」PROsheetブログ担当のたぐちです。

本日はスマートフォンを認識し鍵を開け閉めしてくれる話題のスマートデバイス「Akerun」を開発されている株式会社フォトシンス代表取締役の河瀬航大さんのインタビューをお届けします。

鍵と対話できたら面白いんじゃないか

__現在創業してどれくらいですか?

今6ヶ月ですね。メンバーは10人で、殆どエンジニア。僕はビジデブ(ビジネスデベロップメント)側ですね。

__新卒で入社されてから起業するまでずっとガイアックスにいらっしゃったんですか?

3年半いました。いつか起業するんだろうなとは思ってたんですけど、比較的早い段階で起業することになりましたね。

__元々起業志向はあったんですか?

起業志向というか、ガイアックス時代から自分でアプリを作ったりはしてたんですけどね、趣味ですけど。今回「Akerun」も趣味の延長線上で会社員と平行してやっていた活動が多くの方々に注目いただき「やるしかないだろ」って感じになって、外に出たって感じですね。

Akerun

__スマートフォンが鍵になるっていうコンセプトはどういうキッカケで思いついたんですか?

元々、「Akerun」の前に、iTunesで僕のローカルにしかない曲を、隣にいる友達とか彼女とかにBluetoothで送信して、同時に聞くっていうアプリを作ったんですよ。で、それって意外とありそうで無くて、Bluetoothの仕様に合わせるのに四苦八苦して大変だったんですけど、その当時からゲームとかのアプリではなくて、モノとモノが繋がる感じのアプリを作っていて、それが体験として、「Bluetooth面白い」とか「繋がるって凄く気持ちいいな」って思って、そこからこれをもっと色んなものに繋げたら色んなコミュニケーションが取れそうだし、繋がれるかもしれないと。色々考えていくなかで「鍵と対話できたら面白いかも」と思ったんですよね。アプリで自動で鍵が開くってのはありそうでなかったし、データとしても凄く面白い。でも(鍵には)電気通ってないからどうしようと。最初は既存の電子施錠、指紋認証とかICカードとかあるので、あそこをハックしにいけないかなと思ってたんですけど、それではなく最初は後付のほうが広まりやすいし、自分たちとしても体験が出来るので、まずはそこからやろうかというところで始まりました。

「鍵を開ける」というシンプルなユーザー体験を全く壊さない

__開発を始めたのはいつ頃ですか?

去年の頭ですね。

__かなり早い時間で開発できたんですね。

爆速でやってましたね。年明けから土日も平日の夜もずっと集まって。

__開発メンバーはどうやって集めたんですか?

メンバーは僕の学生時代の知り合いに一人パナソニックの人間がいるので、彼が人を引っ張ってきてくれたり。最初はコンセプトが面白いし、「鍵をHackする」っていうキー自体がすごく面白いので、かなりメーカー側からも人も集まってて、それこそコワーキングスペースとかモノ作りのシェアスペースとかで、趣味的に盛り上がってたんですけど、日経新聞とかで取り上げて頂いて、バズるようになってきてからは、「やるしかないな」って思うようになって、その中から実際2人が(会社を)辞めてって感じですね。僕が辞めるのはいいんですけど、パナソニックを辞めるってのは結構大変で(笑)、IT系は転職は普通じゃないですか。パナソニックなんて一度辞めたら戻れないし、そっから大手のメーカーにも行きにくいしっていう状況なので、相当腹をくくって。

__創業メンバーのご家族の反対はありましたか?

もちろんありましたが、ご理解いただきました。

__創業して6ヶ月経ちましたが、現在どのような状況なのでしょうか?

プロトタイプ自体は初期の段階からはあるので昨年9月から量産を意識した設計をずっとやってきて。

__リリースはいつですか?

これまでtoB向けでやってきたんですけど、一般発売は来月4月です。

__早速ですが、Akerunを拝見させて貰っていいですか?

__取り付けるだけって凄くシンプルなのが良いですね。

取り付けるだけなので改造する必要もないですし、IC認証のようなランニングコストがかからないんですよ。スマートフォンを持ってなくても、普通の鍵も使えますし。これまでの鍵も普通に使えるんですよ。皆がスマートフォンを持ってるワケではないという問題もありますし。

__ただ斬新さだけを求めているワケではないんですよね。実用性が高い。

そうなんです。これ、かなりUXを意識していて。

__「鍵を開ける」というシンプルなユーザー体験を全く壊さず、不便さを感じさせないんですね。

鍵ってセキュリティと利便性のバランスが重要で、実は4000年以上この形なんですよ。シリンダー自体であれば歴史は浅いんですけど、鍵の認識って染み付いている。やっぱり既存のUXを壊すっていうのはハードルが高いので、後付という事によって安全性と利便性を同様に担保しつつ、凄くバランスを考えました。

__デザインも素敵ですが…

ありがとうございます。デザインも凄く拘って、西海岸でプロダクトデザインをやっている方に開発して貰ってますね。

__見た目が凄くかっこいいですよね。

見た目はロボット感がコンセプトなんです。ドアに馴染むように。ドア一体型ロボットみたいにしたいなと思ってて。

サービスと一体になって初めて「Akerun」が利便性を持ってくる

__ビジネス的にはどういった展開を予定していますか?

もちろん一般向けにも発売しますが、まずはB向けを注力していこうかと思ってます。(利用シーンを)突き詰めて考えていくと、一般向けは家族で使うのであれば良いのかなと。

B向けとして第三者がたくさん出入りする空間を考えていくと、コワーキングスペースだとか、シェアハウスとか、飲食店とかOfficeや不動産の内覧とか。不特定多数の方が利用する場所って、シリンダーを変えるのって凄く高くつくし面倒なので鍵の管理がずさんになってたりするので、そういう所で狙っていこうと思ってます。

__セキュリティ方面も気になります。もちろんかなり頑丈に作っているとは思いますが…

そこはかなり力を入れていて、いっぱいチェック項目がありますね。落としても壊れないか、水で壊れないか、感電しないかとか、ドアを激しく閉めても落ちないかとか。

物販として展開するのではなく、「Akerun」を使っていただけるようなサービスを色んな会社さんと作って頂ければなと思っています。それこそ不動産内覧でいえば、今不動産の構造ってオーナーさんと管理会社さんと仲介会社さんとエンドユーザーさんがいると思うんですけど、仲介会社が内覧させるときに鍵を受け渡しをして、オーナーとか管理会社さんが鍵を毎回とるとか立会とか、キーボックスとかでやり取りをするんですけど、いつ内覧したいかとか予約もFAXで行われている状態ですし、そっから鍵の受け渡しも、全部アナログなフローなんですよ。それを全体的にサポート出来るようなシステムを今HOME’Sさんと一緒に開発して、仲介会社さんと管理会社さんが気軽に日程調整と自由に内覧が出来るように。ユーザーとしても、一番最後に決める前にまたもう一回見たいとかあるじゃないですか。場合によってはそういう時にユーザーがセルフ内覧出来るかもしれないじゃないですか、仲介会社さんと一緒に回る必要がなくなるから。そうやって全体的にシステムを作って初めて、「Akerun」が利便性を持ってくると思うんですね。

あと今ドコモと一スマート宿泊というパッケージを一緒に作っています。今だとネットでホテルを予約した後、ホテルの受付で住所を書いてお金を払って鍵を貰ってって感じだと思うんですけど、そういった一連のフロント業務をなくしてしまおうとしています。そのままネットで予約も決済も済ませる事が出来て、鍵もあるし部屋番号までわかるので、フロントで無駄な手続きなく部屋に行く事が出来る。ホテルだけじゃなくて、飛行機の自動チェックインに近いんですよ。Webで事前にチェックインすれば、登場手続きしなくても手荷物検査場に直接行けるじゃないですか。海外ではチラホラとそういう動きが出てきていて、ヒルトンホテルが300億円を投資してそういうプロジェクトをやってるんですよね。

__なるほど、人件費の削減にもなるしユーザーの利便性も増しますね。

単純な「ドア開ける・閉める」っていうだけの事なんですけど、色んな人達が「こんな風に使ったらどう?」とか「こういう風に提携しない?」っていう話を持ってきてくれます。それを形にしたパッケージやサービス自体がお客様のニーズを解決するIoTの形だと思っているので、サービスの中にモノが取り込まれているような。基本機能を一旦作って、後は色んな会社さんとニーズを解決出来るようなサービスを作って、そこにたまたま「Akerun」が入り込めるようであれば入りたいなといったニュアンスで考えていますね。

Photosynth

__お伺いしていると、鍵っていろんな可能性がある事がわかりました。

実は、鍵っていろんな苦労があって。まずカバンにアナログなものが一個あると言えば鍵じゃないですか。今はノートもペンも持ち歩かないし、本もKindleとかiPadになってきているのに、何故か鍵はあの形で4000年存在する。あとカバンの中にあると無くさないように落とさないようにと常に気がはりますよね。

__忘れた時の絶望感も結構なものがありますよね。私の場合、会社に忘れた時、家の外で家族が帰ってくるまで2時間くらい待った辛い経験があります(笑)

僕も会社に忘れてタクシーで取りに帰った事あります。あと、鍵を無くした時も大変で、解錠の専門業者を呼ぶのもお金かかりますし、シリンダー交換すると2〜3万円くらいかかるんですよ。そういうトラブルもAkerunなら回避出来ます。

__ところで、PROsheetについて一言頂けますか?

まぁ理想は正社員でフルコミットなのですが、ベンチャーにいきなりフルコミットというのはリスクが高いので、このような部分参加というコンセプトは非常によいかと思います。

一方で関わっていただく時間が短いとかえってマネジメントコストが膨らんでしまうので、やはり長い時間働いてほしいという思いは引き続き強いです。
まぁ、週3とかを越えてくると当事者意識も出てきますし、ベンチャーはその瞬間、人が必要だったりするので、利用タイミングはこれからも増えそうです。

__最後に、今後の展望を教えてください。

「Akerun」に関しては、ドアの不便は誰もが感じているところだと思うんですけど、というか当たり前過ぎて苦痛すら感じないくらいだと思うんですけど、それを様々なドアで対応出来るのであれば、日本の朝と帰りがガラっと変わってくると思っていて。それは単純にドアの開け閉めが楽になるっていうだけじゃなくて、サポートをしてくれるコンシェルジュのようなインテリジェンスを更にどんどん持たせていきたいと思ってるんですよね。当初からスマートロックとは言わず鍵ロボットって言ってきてるんですよ。番犬とかコンシェルジュみたいに。近づくだけで「ご主人様だ」って鍵を開けてくれるとか、河瀬が帰ってくるといつものようにストーブをつけるなとか、いつもこのチャンネルに変えるな、電気はこことここはつけるけどここはつけないな、みたいな情報があると思うんですよね。ドアの内側ではリラックスさせるコンシェルジュになって、ドアが出るときは元気を持って出ていって欲しいので天気予報を教えてくれる、傘を持っていった方が良いか教えてくれるとか、後は何時に出たからいつもの電車に間に合わないから走れよって教えてくれたりとか。データとしても色々面白いし使い道もたくさんあるので、コンシェルジュのような番犬のような、そんな立ち位置にしたいですね。
IoTを通して、どう生活を便利に変えていくかが重要だと思っています。

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以上、河瀬さんのインタビューをお届けしました。ご協力ありがとうございました。

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