「面白いことだけをやり続けたい」ー co-meetingが見据えるその先とは?

co-meeting

 
好きで活きて得意で稼ぐ週2日〜のIT仕事紹介「PROsheet」ブログ担当のたぐちです。

さて本日は、エンタープライズ向けリアルタイムコラボレーションツール「co-meeting」やソーシャル・コミュニケーションダッシュボード「CROWY」でもお馴染み株式会社co-meetingの取締役COO矢野貴明さん、取締役CPOの遠藤裕之さんのお2人のインタビューをお届けします。最近ではSalesCloud(Salesforceの営業支援アプリケーション)ユーザー向けのダッシュボード「SalesFollowUp」のリリースや、株式会社ジェネストリームとの「Cu-hacker for Salesforce」の共同開発に着手するなど、立て続けに話題を提供しているco-meetingさんに、今後の展望などをお伺いしました。

セールスフォースを選んだ理由

SalesFollowUp

__そもそもなんでSalesforceなんですか?

矢野さん「実は今年の春先から、co-meetingに続くものをやろうとしていたのですが、なかなかコレだ!っていうアイデアが出てこない。当初はリーンスタートアップに沿ってユーザーヒヤリング等をしたり、検証をしながら進めていたんですが、そうすると大抵作る(開発する)ところまで行かずに頓挫してしまう。その間ずっと私たちのエンジニア(木村さんと遠藤さん)の手は動き始めないんですよね。私たちは作るのが得意な会社なのに、作るところまで一向に行かない状態が続くのはなんか違うんじゃないかと。

それで、検証ができてから作るのではなく、開発効率が良くて運用の手間もかからず、コストも抑えられるようなプラットフォーム(PaaS)上で仮説の段階で開発・リリースをしてしまい、実際に販売していく過程で検証していくことができないかと考えました。それで選択したプラットフォームがSalesforceですね。

そう考えた背景には、私たちが創業当初から運営している「CROWY」という複数のソーシャルメディアをまとめて見れるサービスの存在が大きくて、あれもPaaS、Google App Engineで動いています。現在はオープンソースにした上でメンテナンスを停止しているんですが、サービスの提供自体は続けていて、現在も毎日5000人くらいの人が使ってくれています。にも関わらず、運用の手間は全くかからず、コストも月に2万弱で済んでいます。このCrowyと同じような感覚で運用ができるのであれば、メンテナンスやユーザーサポートを考慮しても、複数同時にツールを提供することが可能なんじゃないかと考えました。
で、ゼロからどのプラットフォームがいいかと検討を重ねたのですが、自分たちの属性と、エンタープライズ向けにツールを提供していくことを決めてたこともあり、現時点ではGoogle App EngineよりもSalesforceだな。ということになりました。

CROWY

Salesforceを選んだ理由としては、co-meetingもそうなんですけど、私たちみたいなエンタープライズソフトウェア、つまり企業が社内で使うツールは、セキュリティとかユーザー管理とか、企業内で使える状態にするために最低限必要な機能が求められます。で、それを乗り越えるための開発、例えば、画面の見た目が変わらず、利用する人の体験が変わらない機能の開発みたいなものに、結構長い時間がかかっちゃいます。それは、新しいツールを発表してから実際に企業に導入してもらうまでにもの凄く時間がかかっちゃうってことなんですよね。Salesforceを利用した場合、いま話したユーザー管理やセキュリティ関連の機能はプラットフォーム側で全部用意されていて、そうした部分をSalesforceに任せられる。それが一つ。

co-meeting

あと、今Cloud(IaaS)を利用するのって、凄く安くなって手っ取り早くもなったんですけど、どうやってもリリースしてお金が入る前に運用費がかかっちゃいます。また、例えばco-meetingの場合はIaaSで、あれはOSまではインストールされていているんですけど、そのOSを含めたミドルウェアやデータベース、サービスケーションサーバーとかを全部面倒見なきゃいけないんですよね。その分メンテナンスも大変だし、ユーザーアクセスの増加等にも対応しなくちゃいけないし、いろんな理由で落ちたりもします。そういう事を考えるとそんなにたくさんのツールを同時には出せないし回せない。

これはGoogle App Engineの場合も一緒なんですが、Salesforceを使えばこの部分もSalesforce側に任せられるし、こちらはツールの開発に集中できます。もちろん、Salesforceならではの癖というか、言語や使えるライブラリとかもそうだし、それにしっかり合わせなきゃ動かないってことはあるんですが、それを乗り越えてしまえば、運用も楽だし手離れがいいんですね。私たちが理由で落ちるケースも大幅に減ります。

あと、一番条件も良かったんです。Salesforceって月々の運用費用がかからないんですよね。お客様が購入して、お金が発生して初めてSalesforceに支払わなければいけないお金も発生します。サービス登録にも無償のサービスには費用が発生しなくって、有償の場合でも初年度が27万円、2年目以降は毎年3万円かかるだけです。ビジネスやサービスを始める上での初期費用がほとんど発生しないわけで、リスクが低い。」

__最初だけ大変なんですね。

矢野さん「昔は本当に癖があって、言語もApexっていって、Salesforceの独自言語で作らなきゃいけなかったんですけど、ここ最近は方向性が変わってきて、REST APIが豊富になったんですよね。スマホシフトの影響が大きいんでしょうけど。で、私たちがco-meetingとかCrowyでやっていた開発スタイルをそのまま適用できるようになり、フロントエンド開発と言うか、表側の動きをリッチにする私たちの得意な部分を活かせるという状況が整ったがのが大きいですね。Apexを書くしかない状況だったら、今回は手をつけてなかったと思います。もしかしたらGoogleでやっていたかもしれない。」

遠藤さん「我々のフィルターが通ることによって、我々の色が出るので、闇雲に(サービスを)出したとしても、co-meetingの色としてサービスが出て行くはずなので。」

矢野さん「最初の一本目(SalesFollowUp)は無料で出したんですけど、それはSalesforceを使っているユーザーさんとかSalesforceに関わってる皆さんが我々の事を基本知らないっていう前提で、その人達に私たちがどういう事が出来てどんな開発力を持っているかを知って貰うために無料で出しました。

あと、この分野では完全に新参者ですから、無料である程度使って貰えるようなサービスを出せば、Salesforceを実際に使っているお客様が実際どういう悩みを持っているのか、どういう風に導入しているのを聞けるきっかけにできないかな、というのも思惑としてありましたね。」

__今後は有料の可能性も。

矢野さん「今後は有料ですね。SalesFollowUpを無料で出したことによって、私たちの作ったものを使ってみてくれた方々がある程度増えたことと、Salesforceの中の人達にも多少は私たちのことを知ってもらえたかと思うので、今後、有料サービスを出す際に多少お話がしやすくなるんじゃないかとも思ってます。」

__開発を決めたのはいつ頃なんですか?

矢野さん「7月末にやると決めて、8月にSalesforceのパートナー担当の方に会って、SalesFollowUpをリリースしたのは10月10日です。一ヶ月程度で作ったんですが、そのスピード感がそれなりにSalesforce社内でも話題になってくれたようで良かったです。」

SalesFollowUp

矢野さん「現在、SalesforceのAppExchangeと言うマーケットプレイスのランキングの上位にはまだいられているので、Salesforceに関わりがある人達がそれなりに見てくれていると思いますし、一定数のインストールもして頂いてます。そこに存在している事自体が我々にとっては価値ですね。昔Crowyをリリースしたときって、我々創業した直後の「こんな事が出来るんですよ」っていう名刺代わりのサービスとしてだいぶ助けて貰ったんですけど、SalesFollowUpもSalesforce界隈における名刺代わりのサービスとして役に立ってくれていると思います。」

遠藤さん「だいぶ。」

矢野さん「実際その結果、私たちの木村(代表)は昨日の大きなイベント(Salesforce World Tour Tokyo)のセッションでゲスト登壇させて頂いたりもしているので、ありがたい話です。」

co-meeting木村さん

隣で話を聞いていらっしゃった代表の木村さん

__遠藤さんにお聞きしますが、開発において大変だった事ってありました?

遠藤さん「開発は特に無いですね、一番大変だったのはリリース作業でした。」

矢野さん「SalesForceのAppExchangeに登録するのは初めてのことでしたから、サービス開発以外にやることがそれなりにありました。AppStoreに登録する場合も同じだとは思いますが、それよりは手間がかかるんじゃないかとはおもいます。」

遠藤さん「難しいものではないので、皆さんとっつきにくいと言ってるのは単純にクローズな世界なので勉強したくないだけだと思います(笑)」

悩んでいる暇あったら作る

cu-hacker

__ところでCu-hackerはどうしてやろうと?

矢野さん「Cu-hackerは元々営業寄りのアポ調整のためのツールなんで、向いてるツールだなと思っていて。僕自身がリリースした直後くらいからずーっと使っていて、大ファンだったですね。実際Cu-hackerのトップページに一言コメントが載ってますしね(笑)。で、SalesFollowUpの次に何を作ろうって思った時に、Salesforceプラットフォームに興味あるけど事業方針なり割けるリソースの関係上入ってこれないケースもあるだろうとか考えてたんですが。その際に最初に思いついたのがCu-hackerでした。で、ジェネストリームさんのオフィスに伺った際に、代表の秋貞さんに『Cu-hacker for Salesforce、私たちでやらせてくれないですかね?』ってダメ元で聞いたら『いいっすよ』って言っていただきました。ダメ元で言ったのですが嬉しかったですね。

Cu-hackerは、その作られ方が私たちが作ってきたサービスに近いので、すぐに開発に取り掛かるサービスとしても向いていたんですよね。あとSalesforce自体がカレンダーの機能を持っていますが、使い勝手にそれなりに課題があることも聞いていましたので、絶対に売れるという確証を持つとこまでいってはいないんですがニーズはあるだろうとは思いました。悩み過ぎないで出す事を決断して感じです。」

遠藤さん「まぁ我々がヒアリングシートを作る時間でモノができちゃいますからね。」

矢野さん「そういう事ですね。なので、作るぞという事を決めて、これ本当に行けるのかなってニーズを聞いてみよう、ヒアリングシートして、10人くらいにアンケート取るぜって言っている間にプロトタイプくらいは多分できてるんですよ。」

矢野さん「実際Cu-hackerの開発着手のリリース出したんですけど(11月21日)、そこから作り始めて、昨日のイベント(12月4日)のタイミングではデモを見せられるくらいのスピード感です。作るかどうかどうか悩んでる暇があったら作ってしまった方が早いですし、その方が声も聞きやすいので。」

__そのほうがリアルなヒアリングにもなりますよね。

遠藤さん「実際に昨日のイベントでも、こういう機能は必須だと思うってSalesforceの方から教えて貰ったりしてますしね。」

__いつリリース予定なんですか?

矢野さん「2月の予定で動いてます。セキュリティレビューに時間がかかるかもしれないので絶対ではありませんが、2月にリリースできるスピード感ではやっています。」

遠藤さん「Appleのレビューと同じで弾かれる可能性も今回はありますので」

スタートアップにとっても魅力的なプラットフォームだと思う

矢野さん「諸々考えるとSalesforceって魅力的なプラットフォームだと思いますね。人的コストの削減だったりとか、自分たちが得意じゃない部分をやらずに済ませられるというのは結構大きいです。インフラについても、僕らはやれなくはないですが、得意な方ではないですし。Salesforce上でサービスをだすこと自体、閉じたイメージが強く、Salesforceのユーザーにだけっていう印象も強くなってしまうので、スタートアップやエンジニアはクローズなプラットフォームで開発することに抵抗もあると思いますが、エンタープライズ向けのサービスを提供する上では魅力的なプラットフォームだと思います。」

__スタートアップにもオススメだと。

遠藤さん「Web系サービスのエンジニアでもバックエンドでPaaS使うならforce.comを使う方が楽だし早いです。Salesforceって別にそんな閉じてるイメージはなくて、Salesforceを使う事の一番のメリットは情シスと話さなくてもシステムの導入が出来そうって事ですよね。いきなしビジネスの話をお客さんと出来るっていうのは結構大きいんじゃないかな。」

一本のプロダクトだけをやってるとエンジニアのモチベーションを保つのは難しい

__co-meetingについてはどうしていく予定ですか?

矢野さん「co-meetingは追加開発もしていますし継続します。ただ、私たちも頑張って稼いで大きくならなきゃいけないので、今回の取り組みで利益を上げていければ、co-meetingにもいい影響を与えられると思っています。Webサービスの売上で食べていく目標は変わりませんが、一つのサービスだけで食っていくのは、一旦捨てている感じです。複数のサービスを開発していると、都度最適なものを選べるので、技術的にもリフレッシュされていきますし、それは今後人を増やしていく上でも魅力の一つになりえるとも思っています。」

遠藤さん「エンジニアリングな話をすると、一つのプロダクトをやっているとその時に採用したアーキテクチャは変えられないんですよ、ビジネス的に変える理由がないので。例えば5年前に作ったプロダクトがそこそこ売れていて、メンテナンスが多少しにくくなっても、そこで最新のフレームワークを入れる理由がないので、普通はそのままなんですよ。でも、技術的に陳腐化したとしても、やり続けなきゃいけないので、それに関わり続けるエンジニアのモチベーションを保つのは難しいかもしれないです。複数の新しいサービスをやっていければ、その時に最適な新しいフレームワークを選択出来るわけです。それをキャッチアップする意欲のあるエンジニアをふやさないといけないですけど、面白さはありますよね。これがプロダクトをやっている人達の共通の悩みであり、課題ですよね。」

矢野さん「ユーザー数が極端に増えるとか、相当な理由がないと変えないですよね。」

遠藤さん「アーキテクト的に耐えられないとか理由がないと、TwitterがRails止めてJavaにいったとか、流れはあるかもしれないけど、私たちが提供しているようなエンタープライズ系のプロダクトだと、そこまでスケールを考慮した対応をする必要はないですし。そういった状況も生まれないんですよね。」

かっこいい事はいえないです(笑)

__最後にお二人の座右の銘を教えてください。

co-meeting矢野さん

矢野さん

矢野さん「面白いと思えることじゃないと続かないと思うんです。同じような仕事をしてても興味のある分野や会社で働くってすごく重要ですよね。辛い仕事も続けられるなと、そう思います。80年代ベンチャーみたいに社会的意義はあまり(笑)かっこいいことは言えないです(笑)」

co-meeting遠藤さん

遠藤さん

矢野さん「楽して稼ごうとはしたいと思ってるんですけど。」

遠藤さん「人に言えないようなことばっかり考える(笑)」

__でもエンジニアには必要な要素ですよね(笑)

矢野さん「エンジニアがコード書くのは基本楽するためですから。」

遠藤さん「全てのライブラリはそうかも(笑)」

以上、矢野さん、遠藤さんのインタビューをお送り致しました。
ご協力ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。