「好きで活きて得意で稼ぐ」PROsheetブログ担当のたぐちです。
さて、今回のエンジニアインタビューはフリーランスエンジニアの堤修一さん。
30歳を過ぎてからプログラマーになった堤さん。数々の紆余曲折なエピソードは、エンジニアに限らず仕事をすることへの原点を振り返えることのできる大変読み応えのある内容になっています!
Contents
大企業を経て30歳過ぎからプログラマへ
__堤さんは30歳を過ぎてからプログラマになったそうですが、それまでの経緯を簡単に教えてください。
新卒で入った1社目は大手SIer、転職した2社目も大企業で、某メーカーでした。肩書きとしては一応エンジニアだったものの、仕事内容としては会議が主体でした。仕事は嫌いではなかったんですけど心から楽しめてはいないな、と感じ始めていた頃に、カヤックを知って興味を持ったんですけど、でもその頃はまだ自分で何も作れないから憧れでしかなかったですね。
仕事が楽しめてない分、週末は課外活動的な事をしてて。遅い自分探しみたいな。で、その一環でカヤックの技術者交流会みたいなのに行って、カヤックの人と話してちょっと挑戦してみようという気になって。ディレクターとして受けてみたんですね。プログラマーやデザイナーと違って、自分でも出来そうにもとれることがかいてあったので。結局落ちたんですけど、一応代表の柳澤さんのところまで(面接に)いって、柳澤さんに「たとえば1年勉強したら採用される可能性はあるのか?30歳を超えてディレクターとかやった事がない人が勉強したところで採用される可能性はあるのか」って訊いたら、「やっぱり難しい。経験ない人なら若い人を採用するので。」って言われて。でも「ActionScriptなり、何かしらの技術があればエンジニアとして、という可能性あるかも。」って言われたので、クスールっていうWeb制作会社兼学校事業をやっている学校にActionScriptを週末習いにいって、それを4ヶ月くらいやって、カヤックに再挑戦して、Flasherになりたかったけど、サーバーサイドのプログラマーとして採用されました。
カヤック入社後は何も出来なくて社内ニートみたいな感じだった
__カヤック入社後は順調に?
その頃もう結婚してたんですけど、サーバーサイドも経験無いし、試用期間後も採用されるかわかんないし、電車で通う余裕は自分にはなかったので、カヤック入社前に独身寮に入れさせて欲しいってメールして。単身赴任状態で働いていました。
入社すると、だいたい周りは年下の人達だったんですよ。歳上の役に立たない人が入ってきて、横について教える雰囲気でもないし、僕もなんか聞きづらくて。案件任せてみたら全然出来てないっていう事が何回もあって、結構僕から仕事が離されて入門書渡されて。本当に社内窓際エンジニア、社内ニートみたいになって。
ただ、ポツポツとサーバーサイドの簡単な仕事がまわってきて、それをしつつも、iPhoneアプリに興味があったので、週末iPhoneアプリを作った事とかを日報に書いたりしてたら、iPhoneアプリ出来るのかなみたいなイメージも社内できて、凄い簡単なアプリの仕事とかは任せてくれるようになったんですね。それでも全然出来なくて失敗したりもしたんですけど。
で、転機はドミノ・ピザのアプリをカヤックが手掛けて(カンヌを始め多くの広告・アプリ関連のアワードを席巻した話題のアプリ、カヤックのサイトには堤さんの名前も。)、最初のバージョンはカヤックのサーバーサイドやFlashの優秀な人が作ったりしてたんですけど、でも皆本職があるからちゃんとバージョンアップが見られる人がいなくて僕に声がかかって。僕は入りたかった会社でサーバーサイドを任されてるから一応頑張ってたけど、やっぱり全然興味ないし、出来なくて辛かったんですけど、iPhoneアプリの仕事は結構必死でやった事で評価されて、アプリ専業でやっていくかって声を掛けられて。自分から「アプリ専業でやりたい」って言うのは、出来ないくせに仕事を選んでるような気がして、言えずにいたんですけど。
それで、カヤックって業界の中で技術的に最先端いってる感じがあったから、iPhoneアプリの仕事も世の中の先駆け的にポツポツきだしてて。それで僕も必死だし興味あるし力も実績もつくしで、iPhoneアプリ専業でやり始めてからは社内でそのポジションを得たという感じです。
やりたくない事はどんなに簡単でも覚えられない
__興味があるかないかで成長のスピードって違ってくるんですね。
PHPは簡単だとか、Objective-Cはとっつきにくいとか言いますけど、そういうのは全然関係なくて、やりたければ覚えるし、やりたくなければどんなに簡単でも覚えられない。
__興味のないサーバーサイドやってた時って辛くなかったですか?
結構辛いんですけど、辛さの度合いで言うと、会社の事業自体に興味が持てなかったメーカー時代のほうが辛かったです。
__やっぱり興味っていう軸は大事ですね。働く事において。
人それぞれ優先度はあると思うんですけど。大企業である事とか、生活水準を落としたくないっていう方も多いと思います。
__自分のやりたい事をしたいって事が大事な人もいる。
たぶんPROsheetに訪れる人もそういう人が殆どじゃないかとは思いますけどね。
__カヤックには結局どれくらい居たんですか?
2年10ヶ月くらいいました。最初の5ヶ月はサーバーサイドで、iPhoneアプリに絞ってからは2年5ヶ月くらいですね。
海外で仕事をしたくて退職
__独立に至る経緯を教えてください。
まずカヤックを退職した理由は、海外に行きたかったからです。iOSの技術力と実績は充分海外に向けても説明出来るレベルまで達してたけど、iOSエンジニアの求人がある状況っていつまで続くかわからないし、一年後あるかわからない。どんどん新しい開発者が増えている状況で。それと当時、大きい案件がちょうど一段落するタイミングで、次のプロジェクトが始まってから途中で辞めるのはさすがに無責任なので、このタイミングかなっていうのがあって。
ちょうど辞めることを決めたタイミングで本を書く話が来て、執筆なら別に日本に居なくてもいいから、海外で書けると思ってスペインに1ヶ月行って、そんな事をブログに書いたりしてたら海外で働こうと思ってる人というのが認知されてきて。それで声を掛けられてアメリカに行ったんですけど、諸々事情があって帰ることになって。
その会社とは帰国して暫くはリモートで一緒にやってたんですけど、別の分野でやりたいことがあったので、CEOに相談して徐々に仕事を手離れさせていって、今年始めぐらいに辞めました。
その間半年間くらいフラフラしてる時期があるんですけど、その頃はiOSアプリとデバイスを繋げて何かをするっていうのに興味があって、そういう事とかも調べ始めたりしつつ、真鍋大度さんがやってるライゾマティクスって会社の話を聞いたりしていました。
で、当時アメリカに行って2〜3年は帰ってこないつもりだったんで、自宅も引き払って家具も売ったり捨てたりしたんですけど、行ってすぐに帰ってきちゃったんで、奥さんの福島の実家に居候しつつ、用事があるときは都内にウィークリーマンションを借りて、新幹線で往復したりしてて。
でもこういう状況ってそんなに意図的には作り出せないから、どうせなら色んなところで転々としながら仕事をするっていう、昔から憧れていた働き方をやってみようかなと思って。それで沖縄のウィークリーマンションを一ヶ月くらい借りて、フリーランス的に仕事をしようかなと思ったんですけど、お客さんと話してる時に、「遠いんだったら近くの人とやりとりしたいから他に当たってみるかも」って言われて。やっぱり今の自分のレベルだと、遠くの堤さんより近くの誰かのほうがいいレベルなんだなと思って。
例えば真鍋(大度)さんの場合は世界中から依頼がきて、飛行機代出してでも真鍋さんしかいないっていうポジションがあるけど、やっぱり僕はまだ沖縄に行ってる場合じゃないなということを学んで、それでちゃんと腰を据えて、東京に引っ越しして、フリーランスでやりますって思った。それが今年の2月ですね。
__将来的にはまた海外で働きたいと思いますか?
そうでもないです(笑)今年WWDC(Worldwide Developer Conference、Appleの開発者会議)にいって、会期は5日間、普通は前後1日くらいで行くんですけど、僕は自分でスケジュールをどうとでも出来るから、せっかく飛行機代を出すので2週間位いたんですけど、結構2週間もいるとお腹いっぱいで早く帰りたかった。日本で仕事したいって思って(笑)
__結構ワーカホリックな感じですか?
それはありますよ。基本好きな仕事をやってるんで、早くパソコン開いて仕事したいと思いますね。観光とかしててても「早く仕事したい」って。スペインに行った時も、結局サグラダ・ファミリアも観に行かずにずっと仕事してしまいました(笑)観光は観光で楽しいんですけど。
その時々の面白いと思える仕事にちゃんとありつけるようなポジションに付き続けたい
__今後、ご自身がどうなっていきたいという目標みたいなものはありますか?
特にないんですけど(笑)、その時々の面白いと思える仕事にちゃんとありつけるようなポジションに付き続けたいなと思っています。本当は僕は面白い事を考える人になりたかったんですけど、どっかしらそこは放棄していて(笑)、そういう人に声がかかる人になるのも悪くはないなと思ってて、野球で言えば凄いピッチャーに指名されるようなキャッチャーになれればいいなと思っています。
__さて、普段の仕事のスケジュール感を教えてください。
実際にクライアントからお金を貰う仕事をやってる日は、週3日くらいですね。
後は自分の時間をとったりしてます。
__趣味とかは・・・
特にないです(笑)お客さんのところでの仕事以外の日は、興味のある技術について調べたり、ブログ書いたりしてます。あとはイベントに登壇したり。先月忙しい割には稼いでないなと思ったんですけど、イベントのせいかもしれない。楽しいですけど(笑)
__ブログは毎回話題になりますがー
ブログは結構僕の生命線だと思っています。やっぱり言わない、知らせないと伝わらないので。
__では、フリーランスになって良かったなって思う事はなんですか?
自分の行動が良いことも悪いことも全て跳ね返ってくる事が良いなと一番思っています。
社員一万人以上の会社からカヤック、その後3人くらいのスタートアップに入って、今は一人になって。で、どんどん小さくなって思うのは、僕はどんな少人数で組んでも、他人と何かやると必ずちょっとズレがあって、それをお互い埋めたりするんですけど、それより自分は全部責任とるから好きな様にやらせてくれってほうが楽で、仕事をやるやらない、断る断らないっていうところも全部で自分で決めて全部自分の責任に出来る方が良いですね。そういう状況が好きな人は向いてると思います。
フリーランスは寂しいという人もいますけど、僕は全く逆で、フリーランスになると人に会うことも全部が有機的に繋がってきて、会社員だとやっぱり会社が一枚噛んだりとか、一緒にやろうぜ的なことにはなりにくい。今までよりも人と会うのが楽しくて、寧ろ寂しいというより、交流が増えた。昔はコード書いてたほうがいい、時間が勿体無いって思っていた事もありましたけど。
__フリーランスの皆さんに向けてのメッセージを。

いいコトずくめですね。
__不安はありませんでしたか?
フリーランスだからっていう不安はないですが、優秀な人を見たりして、ヤバイなと思うことは常々あります。
__焦ったりするんですか?
常にそう思います。原動力にもなりますけど。
__最後に、弊社のサービス、PROsheetについてはどう思いますか?
すごくいいコンセプトだと思います。
「週2日〜」っていうコピーがキャッチーだなと。ハードルが低いというか、週2日なら出来そうだなと。
僕は今一人でやってて手一杯で、仕事に困ってはいないですけど、周りから「初めて独立する時って仕事あるのか」みたいな相談されるんですよ。そういう時にPROsheetみたいに週2日〜のお仕事をちゃんと紹介してくれるところがあると皆安心なんじゃないかなと思います。あと、仕事決まったら辞めていいよっていう奥さんに言われている人も多いみたいでした。
僕もメーカー辞めるときはカヤックも決まってなかったので、仕事決まったらいいよって言われてたんですよね。
その時にPROsheetがあれば嬉しかったですね(笑)
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以上、堤さん、インタビューにご協力頂きありがとうございました!
今後のご活躍も、期待しています!!
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