もし起業する時点でPROsheetがあったら間違いなく登録していたと思います ー株式会社グラフィシア 代表 二村尚さん

株式会社グラフィシア 二村さん

「好きで活きて得意で稼ぐ」PROsheetブログ担当のたぐちです。

さて、本日は、結婚式におけるエンドロール演出用動画を作成する専用ソフト「サンクスロール」他、映像・画像編集アプリケーションなどを企画開発されている株式会社グラフィシアの二村尚さんのインタビューをお届けします。

実家のある長野の拠点を置きながらも、月に2回は上京、まさにノマドワークを4年も続けていらっしゃる二村さんのエンジニア、起業家としてのこれまでを振り返って頂きました。

高校生の頃からアプリケーションエンジニアになりたかった

__プログラミングやパソコンとの出会いを教えてください。

プログラミングとの出会いは、小学生の頃。当時BASICが走るだけのMSXに代表されるおもちゃのパソコンってのが流行っていて、ウチにもそれがあって、小さい頃からマイコンベーシックマガジンを読んで打ち込んで遊んだのが始まりです。

大学は東京農工大学に進んだんですけど、高校生の頃からソフトウェアエンジニア・アプリケーションエンジニアになりたいって思っていて、進学は情報系に完全に絞っていました。

卒業後、同期の殆どが東京の会社に就職したんですが、僕の場合は家の都合でUターンで実家のある長野県に就職しなくちゃいけなくて。ただ、長野県にはソフトウェアハウス的な会社はなかったんで、自分の夢を諦めて、セイコーエプソンに就職しました。ところが、最初にどんな職種に就きたいかっていうアンケート欄があって、ダメ元でアプリケーション開発って書いたら、たまたまセイコーエプソンの子会社でエー・アイ・ソフトという会社があって、そこに出向で配属することになったんですね。一度諦めたんだけど、偶然やりたかったアプリケーション開発の子会社に出向することができた。非常にラッキーでした(笑)

運命を変えるアプリケーション開発との出会い、そして起業

__エー・アイ・ソフトでは主にどういった開発をされていたんでしょうか?

エー・アイ・ソフトでは最初略地図専用のドローソフトを開発していて、その後、自分の趣味とパソコンの市場と併せる形で、写真をプロモーション映像みたいにかっこいい映像にしてリビングでDVDで楽しむっていうコンセプトの商品を作ったんですね。僕が企画設計開発して、基本的に3人のメンバーで全部やったんで本当に苦労しましたけど、それがある意味人生を変えるキッカケの商品でしたね。

そのソフトは最初ファミリー、特にお父さん向けのソフトだったんですけど、出してみたら若者向けだった。それで結婚式の演出の市場とか若い人たちが自分達で遊ぶ為に使うソフトっていう風にシフトしたらそれがウケて、凄い売上が伸びてきたんですけども、エー・アイ・ソフトがグループ企業に吸収合併されてしまいました。エンジニア全員がセイコーエプソンの事業に振り分けられてしまったんですね。でも会社が消滅するタイミングがそのソフトが一番売れてる絶好調の時で、やはり自分で企画設計した事もあって凄く思い入れがあるのと、これはまだイケる可能性があるっていうビジネスの可能性も凄く強く感じていたので、思い切って自分でやってしまおうかと。

あと、東京農工大学の研究室で学年の中で一番優秀なプログラマーが親友でいたんですけど、同窓会みたいな飲み会で「俺やろうと思うんだけどさ、手伝ってくれよ」って半分冗談で言ったら「ああいいよ」ってアッサリ言ってくれたので、そういう色んな条件が偶然マッチして会社を立ち上げる事になったんです。

起業後は売上や開発に苦戦する日々

株式会社グラフィシアのウェブサイト

__起業後は順調でしたか?

今のスタートアップの人達って物凄く時間を大事にして3ヶ月でローンチしてすぐにそれが受けるかどうかチェックしてPIVOTしてっていうのが皆さん浸透しているんですけど、僕はどうしても大企業の中ののんびり感みたいなものがあって、そのせいでやはりそのお金に対して凄く厳しくなってしまって。

僕自身ソフトウェアの開発に関しては人件費以外はお金が一切かからないと思ってたんですね。自分の給料は置いといてパートナーの給料だけ払えれば、後は一切お金がかからないんじゃないかと。実際に、家賃のかかるオフィスを持たず、会社の拠点を持たない、お互い自宅で作業して、必要になったら僕が上京して会って話をする、っていう働き方をしたり。

それで2年を目処に事業化できる製品をリリースしようと思ったんですが、結果的に思ったような開発が進まなくて。ソフト開発の練習のつもりで出した派生製品ソフトも、思ったより時間がかかった上に全然売れなかったりして、2年経ってもさぁビジネスを始めるぞという体制になれなかったんです。

そこで「根本的に自分の事業に対する考え方がおかしい」と気付いて、katanaファンドを運営しているあきない総研吉田社長さんに相談にいって今は出資を頂きながら様々な指導を受けています。僕は前職で企画したような、いろいろな用途で使えるフォトムービーソフトを作ろうとしていたんですけど、それはあまりにも特徴がないしターゲットとする市場が見えなさすぎるので、その用途のなかで一番得意なウェディングに特化したものをまず始めて、そこで成功したら次に行きなさいっていうアドバイスを頂いてウェディング専用ソフトを開発することになったんです。

現在ようやくビジネスとして形に


↑結婚式などのエンドロールを作成する「サンクスロール」はこのような映像が簡単につくれるアプリケーション。

__それが今の製品なんですね。開発してみていかがでしたか?

結果、一番苦戦したのはビジネスモデルで。前職でやっていたパッケージソフトを家電量販店で売るっていうモデルには限界を感じて、ちょうど「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
」という本を読んだので「これからはフリーミアムだ」と制限の緩い無料版とフルに使える有料版という二本立てでやったんですよ。そうすると全然宣伝しなくても無料版は凄くダウンロードされるんですけど、有料版はまったく売れないっていう状況に陥って。もちろん有料と無料の境目のバランスが悪かったっていうのもあるんですけど、このソフトは、日常的に何回も使うソフトじゃないし、スマホアプリみたいに、何百万ダウンロードなんてありえない。年間で言うと20万組程度市場なんだけど、新規ユーザーが毎年入れ替わる。そういう市場(結婚式)にとってフリーミアムは向いてなかったと。

それで、今年の2月からはフリーミアムを辞めて完全に有料版と無料の体験版という構成にしてからようやくビジネスとして形になりました。ダウンロード数は相変わらず多くはないんですけど、単価が5,000円弱くらいなんで、スマホのアプリに比べると高い、ただ市販のパッケージソフトとか業者に委託するよりは圧倒的に安い。という事で、ようやくバランス的に落ち着きました。

ただ、やはり自社製品だけでは食べていけないので、起業して2年目くらいに資金がショートしかけた頃から受託開発をやっています。全く映像とは関係ない受託もやったりもしたんですけど、去年後半くらいからは我々が持っている映像合成の技術に関する受託開発に絞るようにしていて、来年あたりからは映像に関係ない受託開発は辞めようと思っています。自社製品で何万人にも使われている実績を武器に、映像合成に関する共通部分をモジュール化・部品化して他社にライセンスする形で、今年大きな案件が獲得出来ました。今後はそちらがメインで、自社製品はショーケースという位置づけになるかもしれません。ウェディング事業が軌道に乗ったら、受託開発やエンジンのライセンスやオンラインの映像生成ソリューションに関するコンサルティングなどのBtoBの営業を強化していきたいと思っています。

ノマドの普及、クラウドサービスのお陰で地方でのデメリットが少なくなった

__東京にはどれくらいいらっしゃるんですか?

月の半分は東京ですね。オフィスはSOHO用のマンションを3グループでシェアしてるんですけど、みんなが帰った後、僕はそこで寝泊まりしていて、それを4年も続けています。僕は東京と松本を頻繁にいったりきたりしているので、情報は全てクラウドにあずけているんですよ。当初お金がなかったので在宅やノマドにせざるを得なかったですけど、シェアスペースやクラウドサービスのお陰でやりやすくなりましたね。そういうのを徹底すれば地方のデメリットもなくなって固定費も下げられて、その時の働きたい場所で働ける。それはかっこいいとかじゃなくて、合理性を追求した結果です。

エンジニア起業家にとっては攻めのツールですね!

__PROsheetについてはどう思いますか?

一緒に会社を立ち上げたエンジニアの前職企業から、「どうしても手を貸して欲しい」と言われ、そのエンジニアを週に2〜3日その会社に業務専属にしました。そのおかげで業績が安定して債務超過を脱して無借金にまでできた。週の6割は自社の開発、残りの4割で確実に稼げるので、その体制になってから財務的に会社としてまともになった、つまり個人的な繋がりで、PROsheetみたいな事をやってたわけです。もしPROsheetで固定費を賄うことができるのであれば、やりたいことが決まってるエンジニアは、皆片っ端から起業して、赤字を出さずに、アーリーステージの出資を受ける事なく会社を維持して尚且つ自分の商品に思いっきりチャレンジ出来ると思います。10人中9.5人が「そんなものお金にならない」と思うようなプロダクトでも、赤字を出さずにチャレンジできる、という意味では、エンジニア起業家にとっては凄い攻めの武器・ツールになると思う僕がもし起業する時点でこれがあったら間違いなく登録していたと思いますし、優秀なエンジニアほど営業や交渉が苦手だと思うので、そういう意味でも手続きを代行してくれたり全部やって貰えるのは有難いと思います。

OSの神様が残した言葉

二村崇さん

__最後に座右の銘を教えてください。

着眼大局、着手小局 【ちゃくがんたいきょく、ちゃくしゅしょうきょく】

僕がすごく尊敬している大学時代の研究室の、OSの神様とも呼ばれていた先生が言ってた言葉で、もう亡くなられたんですけど、ソフトウェア設計のポリシーとして頂いた言葉です。頭の中ではあらゆるニーズやシーンを思い浮かべて設計しながらも、手をつけるのは自分の身の回りにある小さなニーズに特化して作っていくっていう考え方です。

以上、二村さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!

「好きで活きて得意で稼ぐ」を支える。週2回の開発・デザインディレクションお仕事紹介

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